麻酔によるもの
刺入部痛、感染、出血、気胸、神経血管損傷、呼吸障害、血圧低下、アレルギー、アナフィラキシーショック、局所麻酔中毒(めまい、耳鳴り、口のしびれなどが初期症状として出ます)など
「肩関節拘縮」とは、何らかの原因で肩関節の動きが悪くなり、動かすと痛みが出たり、夜間痛で眠れなくなったりする状態です。明らかな原因がない場合は肩関節周囲炎(五十肩)と診断され、一般的には投薬やリハビリテーションを中心に治療を行いますが、改善までに1~2年かかることもあり、半数の方に何らかの症状が残るとの報告もあります。早期の改善を目指して手術で関節包を切開する方法もありますが(鏡視下関節受動術)、全身麻酔が必要で入院を伴います。
このような肩関節拘縮の方に対して、超音波エコーを活用してブロック注射麻酔で肩周囲のみの痛みを抑え、日帰りで関節受動術を行う方法が「サイレントマニュピレーション」です(非観血的関節受動術)。
保険適用の治療で、メスを使わず外来で行えるのが特徴です。早期の可動域改善や疼痛軽減を目的とし、リハビリテーションと組み合わせて回復を目指します(この処置を行った場合と行わなかった場合で、最終的な可動域や痛みに極端な差はないという報告もあります)。
横向きに寝ていただき、首の脇から超音波エコーを用いて肩関節周囲に神経ブロック麻酔を行います。30分ほどで麻酔が効き、肩から肘にかけて感覚が鈍くなります(腕全体に効果が広がる場合もあります)。帰宅後に痛みが強くならないように、肩関節内に痛み止めの注射も行います。
医師が腕をゆっくり動かしながら、縮んだ関節包を徒手的に広げていきます。関節包が剥がれる際に音が聞こえることもあります。
処置後に骨折などが起こっていないか確認するため、レントゲン撮影を行います。意識がある状態で行いますので、その日のうちに帰宅できます。麻酔がよく効くと肩から腕にかけて力が全く入らなくなるため、当日は三角巾で腕を吊ってご帰宅いただきます。麻酔の効果は半日程度で切れます。所要時間は、麻酔開始から終了まで1時間半~2時間程度が目安です。
今回の処置は、1回の処置で完治するものではなく、肩関節の動きを広げたり痛みを軽減させたりすることで、運動療法に取り組みやすくすることが目的です。処置後のリハビリテーションが最も重要であり、定期的な診察を含め3~6カ月程度の通院が必要と考えられます。
処置により肩関節の可動域改善が期待できますが、すべての方が完全に元通りになるわけではなく、拘縮が残ることもあります。
頻度的にはまれなものも含めて、以下のような合併症の可能性があります。
刺入部痛、感染、出血、気胸、神経血管損傷、呼吸障害、血圧低下、アレルギー、アナフィラキシーショック、局所麻酔中毒(めまい、耳鳴り、口のしびれなどが初期症状として出ます)など
骨折、脱臼、腱板損傷、肩関節周囲の疼痛など